王室の血塗られた歴史が重ねられた中世の城塞
ロンドン塔(Tower of London)は、シティ・オブ・ロンドンの東端、テムズ河の岸辺に築城された中世の城塞。
正式名称を「Her Majesty's Royal Palace and Fortress」(女王陛下の宮殿・要塞)と言い、現在も武器や甲冑などの保管庫や礼拝所などとして使用されている。
ウィリアム1世(ウィリアム征服王)が1078年にロンドンを守るために堅固な要塞の建設を命じて築城。リチャード1世が城壁の周囲の濠を建設、13世紀後半にヘンリー3世がほぼ現在の姿に完成させた。築城から900年以上にわたってロンドンと王室の歴史を眺め続けてきた歴史ある城塞。
外敵からロンドンを守る名目だったが、自治組織であるシティの勢力への牽制が最大の目的であったと言われる。
1282年から政治犯を幽閉する牢獄として使用され始めると、14世紀以降は政敵や反逆者を処刑する処刑場としても使われた。
ここで最期を迎えたのは王や王妃、王子など王室関係者も多く、王室の勢力争いや血なまぐさい歴史の舞台となってきた場所でもある。今でも処刑されたアン・ブーリン(ヘンリー8世の2番目の妃)の幽霊が出ると囁かれているなど史実にとどまらない興味深いエピソードも多い。
最後に行われた処刑は第二次大戦中のドイツ軍スパイで、長い間監獄・処刑場としての歴史を持つせいかどこか暗いイメージが拭えないのもまた観光客が興味を惹かれるポイントだろう。
1625年のジェームズ1世の逝去まで、エリザベス1世をのぞく歴代国王の居城として使われた。
現在もイギリス王室が使用する現役の宮殿だが、ロンドン観光の定番スポットとして人気が高く、観光客も多い。
建物のいくつかには、世界第2位のダイヤモンドであるカリナン(偉大なアフリカの星 The Great Star of Africa と呼ばれる)などの王室の宝物や歴史的な展示物が見学できる。
1988年、ユネスコの世界遺産に登録された。
内部は広く、全てきっちり見学すれば半日はかかるので、甲冑などの博物館になっているホワイト・タワーと宝物庫のジュエル・ハウスの2箇所に目的を絞るのがオススメ。3時間程は見積もっておきたい。
すぐ近くに、世界的にも有名な跳ね橋のタワー・ブリッジがあり、南岸に渡るとバトラーズ・ワーフなどのサザークエリアも合わせて観光できる。
ホワイト・タワー White Tower
敷地中央にある高さ27.4mの塔は、ロンドン塔の原型となった建物。
博物館になっており、19世紀のロンドン塔の写真や、ロンドン塔の歴史、中世の甲冑や火器などの武具や実際に使われていた拷問道具などが展示されており必見。
2階の礼拝堂は当時の教会建築を見ることができる貴重なもの。
ジュエル・ハウス
ジュエル・ハウスは中世から王室の宝物庫であり、現在も王室の王冠や宝珠などの数々の金銀宝石類が展示されている。
現在、展示エリアには世界第2位のダイヤモンド「偉大なアフリカの星」(The Great Star of Africa)がはめ込まれた王笏や、東インド会社がヴィクトリア女王に贈ったダイヤモンド「コ・イ・ヌール」などが展示されている。
王冠や王笏などは通常ここに展示されているが、戴冠式の際はウェストミンスターに運ばれて使用されるれっきとした本物だ。
写真撮影は禁止されている。
"Imperial State Crown2" by User:Aleister Crowley CSvBibra. Licensed under Public Domain via Commons.
ロンドン塔の見学
ロンドン塔内部は広く、上述のホワイト・タワーとクラウン・ジュエル以外にも興味深い見どころはたくさん。
ブラディ・タワー:エドワード4世の息子とその弟が王の死後に行方不明になり、後日ホワイト・タワーの側で死体で発見された。殺害場所はブラディ・タワーと伝えられる。(1483年)
タワー・グリーン:9日間女王 レディ・ジェーン・グレイやヘンリー8世の妃アン・ブーリンなど5人の女性が処刑されている。
トレーダーズ・ゲート:セント・トーマス・タワーにある塔への入り口。多くの反逆者がこの門をくぐったため「反逆者の門」と名付けられた。
その他、ロイヤル・フュージリアーズ連隊の本部に併設されている歩兵連隊博物館も充実の内容で見応えがある。
オーディオガイド(£4)は日本語対応で、自分のペースで観たいところをピックアップして巡ることができる。
歴史や展示物をより深く知ることもできるので、ぜひ利用したい。
ロンドン塔の衛兵隊であるヨーマン・ウォーダーズ(通称ビフィーター)による塔内のガイドツアーがあり、ヒアリングに自信があるなら参加してみよう。
ヨーマン・ウォーダーズ ガイド・ツアー(無料)
ビフィーター達が塔を案内しながら、陰謀、投獄、拷問など多くの話で楽しませてくれるツアー(英語のみ)で、ロンドン塔を訪れる観光客に最も人気のイベント。
記念撮影にも快く応じてくれる。
ツアーは30分ごと開催され、夏は15:30、冬は14:30が最終開始時間。
所要時間は約60分、メインエントランス近くからスタート。
料金は無料。(入場券に含まれている)
住所 | EC3N 4AB England |
URL | http://www.hrp.org.uk/towerOfLondon/ |
TEL(予約) | 0844 482 7799 +44 (0)20 3166 6000(海外から) 月〜金 09.00-17.00 |
開館時間 | 3/1〜10/31(夏季) 火〜土 09:00 〜 17:30 土〜月 10.00 〜 17.30 最終入場 17:00 11/1 〜 2/28(冬季) 火〜土 09.00 - 16.30 土〜月 10.00 - 16.30 最終入場 16.00 |
休館日 | 12/24〜26、1/1 |
料金 | オンライン £23.10(割引) 当日入り口で £24.50 |
オーディオガイド | £4 日本語あり |
備考 | 公開時間中最後の1時間にセント・ピーター礼拝堂の見学が可能。 クラウン・ジュエル、マーティン・タワー、礼拝堂以外は撮影可。 史跡・建物内での飲食、喫煙、携帯の使用は禁止。 |
アクセス | Tower Hill駅すぐ |