ロンドンの鉄道ガイド

鉄道発祥の国イギリスは全国に鉄道網が敷かれており、地方都市への鉄道旅行も一つの楽しみといえます。
ロンドンを起点に短・中距離の移動に利用したい鉄道のシステムや乗り方、お得な乗車券の情報を押さえておきましょう。

イギリスの鉄道(National Rail)

イギリスの鉄道は、国鉄(British Railway、BR)の運営が民営化され、現在は National Rail(総称)と呼ばれています。
民営化の際に19社程の鉄道会社(オペレーター)に運営が分割され、各社サービスや料金がそれぞれ異なります。
オペレーターは基本的に運営地域が分かれていますが、地域や区間によっては複数のオペレーターが同じ路線を使っていることもあり、National Railの運営体系は複雑といえます。
鉄道の主要な発着駅となるターミナル駅はこちらを参照ください。

 

列車の種類

インター・シティ(Inter City)と呼ばれる特急列車HTS(High Speed Train)と、普通列車の2種類があり、前者は中・長距離の主要路線、後者は近郊の街を繋ぐローカル線を走ります。
特急列車は日本のように特急料金は必要なく、イースターや夏の休暇期間といった繁忙期を除けば予約の必要はありません。
寝台車はスリーパーサービスといい、専用車両がインター・シティに接続される形態です。ロンドンとスコットランドの都市を結ぶカレドニアン・スリーパーと、南西部ペンザンス方面へのナイト・リビエラ・スリーパーがあります。
いずれも要予約で、人気路線のため早めの予約がおすすめです。

 

席種と運賃

席種は1等(First)と2等(Standard)があり、1等はスタンダードの約1.6倍の値段です。

料金設定は細かく、片道のアドバンス・シングル、オフピーク・シングル、エニタイム・シングル(正規料金)、往復のオフ・ピーク・リターン、エニタイム・リターン、日帰り用のデイ・リターン、特定の列車に適用されるスーパー・オフ・ピークなどがあります。(デイ・リターンを除く往復チケットの往路の有効期間は1ヶ月。)
アドバンスは前売り割引で購入時期によってかなり安くなり、往復のチケットより安くなることもあります。前売りチケットなので、乗車当日の購入はできません。
オフピークのチケットは主要都市の発車時刻が平日の15:30〜19:15を除く9:00〜のものですが、オペレーターによってはこの設定が異なる場合があるので確認しましょう。
チケットは基本的に12週間前から購入可能で、無料で座席の指定ができ、ペットの持ち込みも可能です。

チケットの買い方

自動券売機で買う

主流の券売機はタッチパネル式デジタルディスプレイがあり、クレジットカードも使えます。
目的地の駅を選び、乗りたい電車やチケットの種類、人数を選び、内容を確認し、金額が表示されたら現金かクレジットカードを挿入し、暗証番号(PINコード)を入力。
カードが認証されて支払いが完了すると発券されます。

 

インターネットで事前購入

nationalrail.co.ukで乗りたい列車を探し、該当する鉄道会社のHPで直接購入を行います。
チケットの受取方法を確認し、決済を済ませます。主要駅のチケット受け取りはほとんどが券売機です。
購入確認メールにチケットの予約番号があるので、忘れずメモをとっておきましょう。
当日、駅の券売機で、「Collect Pre-paid Tickets」を選択し、本人確認のためのクレジットカードを入れます。(二重に請求されることはありません)
予約番号を入力すると、チケットが発券されます。

 

窓口で買う

窓口では一番安いチケットを聞くことができたりして便利ですが、混雑していることも考えて時間に余裕を持って行きましょう。
券売機や窓口がないような小さな駅の場合は、乗車後に車内精算を行います。

いずれの購入方法も、間違った駅までのチケットを購入して乗り越しを行うと罰金となります。

ブリットレイル・パスを使う

ブリットレイル・パスは、イギリス国内(イングランド、スコットランド、ウェールズ)の鉄道路線がほぼ乗り放題になるお得な鉄道パスです。
National Railの路線と、ヒースロー・エクスプレス、ガトウィック・エクスプレスでも使えるため、ロンドンを拠点に郊外への旅程を立てている方にも大変おすすめです。
予約が必要な夜行列車を除いてほとんどこのパスだけで利用でき、チケットの購入の手間や間違って買い直す心配もありません。(夜行列車は、別途予約と追加料金が必要です。)

 

パスの種類

基本の指定の連続日数で利用するタイプと、有効期間内に指定の日数自由に利用日を選べるフレキシーパスがあります。
ほかにも、3人以上のグループで使えるセーバーパスや、使用エリアが限定されたエリア限定パスがあります。
いずれも5歳未満の子供は無料で、若い人(16〜25歳)向けの割引もあるため、とてもお得です。
旅行プランに合わせて、最適なものを選びましょう。

ブリットレイル・パス (3・4・8・15・22日、1ヶ月のタイプがある)
ブリットレイル・フレキシーパス (使用開始から2ヶ月間に任意の3・4・8・15日分利用できる)

イングランドパス ・・・イングランド限定、フレキシータイプもある
セントラル・スコットランド・パス ・・・スコットランド広域限定
スピリット・オブ・スコットランド・パス ・・・スコットランド中心部限定
ロンドン・プラス・パス ・・・ロンドン南東部限定
ブリットレイル・サウスウエスト・パス ・・・イングランド南西部限定

 

パスの購入

ブリットレイル・パスは、イギリス国内では購入できないため、渡航前に購入しておく必要があります。
英国政府観光庁オンラインショップレイル・ヨーロッパで購入可能です。
イングランドパスはKKdayも購入できます。

 

パスの使い方

パスの利用にはバリデーションという利用開始手続きが必要です。
利用開始と有効期間のスタンプを記載するバリデーションが行われていないパスは、罰金対象となることもありますので忘れずに。
利用開始日が決まっていれば、出発前に購入の旅行会社を通して手続きをしておくことができます。
イギリスで行う場合は、利用開始前に出発駅の窓口で行ってください。

鉄道の乗り方

鉄道の発着駅となるターミナル駅は規模が大きく、ホームの数もたくさんあります。
まずは案内掲示板(デパーチャーボード)で、乗る列車の発車時刻と使用ホーム(○番線)、経由駅などを確認します。
発車の5分前までホームの表示がないケースもあるので、焦らず待ちましょう。
途中で○号車の切り離しがあるなどの特別なアナウンスがある場合は、ホームの案内ボードに説明があるので見落とさないように。
1等、2等の車両区別を間違えずに、購入したクラスの車両に乗ります。

予約済みの席は、シートの頭の部分にカードがさしてあります。
予約済ならば自分が予約したシートに座り、予約をしていないならカードがない席に座りましょう。
予約済を示すカードには予約区間が記載されていますが、区間外であれば自由席扱いなので座っても構いません。

発車ベルはなく、定刻になるとドアが締まり発車します。
車掌が検札に来たらチケットを見せ、ブリットレイル・パスの場合も提示します。
フレキシータイプのブリットレイル・パスを使う人は、このとき車掌に使用日の記入をしてもらいます。(バリデーション手続きとは異なります。)

近・中距離の列車を除くと、手動式のドアのタイプの車両もあるので、この場合は降車駅についたら自分でドアを開けて降りましょう。
駅に着いたら、改札を出ます。改札がない駅では、そのまま外に出ます。