カンタベリー大聖堂（Canterbury Cathedral）は、イングランド南東部ケント州のカンタベリーにある教会です。
イングランド国教会の総本山であり、カンタベリーの聖オーガスティン修道院、聖マーティン教会とともに、世界遺産に登録されています。

6世紀末、ローマから布教に来た聖アウグスティヌスによりケント王が改宗して以来、カンタベリーはイギリスにおけるキリスト教の最重要地となりました。
カンタベリー大聖堂は、11世紀にイングランドを制服し、ノルマン朝を興したウィリアム1世の命令でロマネスク様式で造られました。完成はウィリアム1世の死後、1130年です。
1170年、教会の力を制限しようとしたヘンリー2世と対立したカンタベリー大司教のトマス・ベケットが暗殺され、その後ローマ教皇によって列聖されました。ベケットの死後、数々の奇跡が起きたことから多くの巡礼者が訪れるようになり、今もなお、全国から巡礼に訪れる人達が後を絶たない聖地です。日本でいう伊勢参りの神宮のような場所といえます。14世紀に詩人ジェフリー・チョーサーによって書かれた「カンタベリー物語」は、カンタベリー巡礼者の物語です。
1174年に火事で聖堂の一部が焼け落ちた後、初期ゴシック様式で再建された時に、ベケットとエドワード黒太子の墓所であるトリニティー礼拝堂が造られました。
1300年代の身廊と翼廊の垂直式ゴシック様式での改築、1503年の大塔のベル・ハリー・タワー建設を経て、今の姿となりました。

カンタベリーの街並にある教会の入り口は、クライスト・チャーチ門という美しいゲートです。
壮麗なゴシック様式の内部や、中庭をぐるりと囲む回廊、トマス・ベケットが暗殺された場所に造られた廟、聖書や王、聖人達が美しく浮かぶステンドグラスなどの見どころがあります。
「天国への門」、「神の館」などと称される大聖堂の厳かな佇まいを、ぜひ現地で感じてみてください。

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